スターバックスの戦略を3C分析してみた

マーケティングには様々な手法がありますが、そのなかでも「3C」を取り入れる手法は非常に有効です。マーケティングについて書かれた書籍やインターネットでの情報にも3Cが頻繁に登場します。しかし、3Cはマーケティング以外にも活用されている事例があることをご存知でしょうか。実はあのコーヒーチェーン店『スターバックス』もこの3Cを活用しています。3Cが活用できるマーケティング以外の分野、それは「ブランディング」です。一体どのように3Cをブランディングに活かすのでしょうか。3Cの基本から解説していきます。

3C分析とは

まずは3Cの基本を解説します。そもそも3Cとは、「自社(Company)」「競合(Competitor)」「顧客(Customer)」の頭文字をとって名付けられた経営戦略構築のためのフレームワークです。3Cの要素を考察して自社がどのような戦略をとるべきかを導き出すことを目的としています。

Company→自社がどのような性質を持っており、強み・弱みはどんな部分か
Competitor→競合の戦略はどのようなものか
Customer→顧客のニーズやサービスへの反応

3Cがブランディングに活用できる

ではこの3Cをどのようにしてブランディングに活用するのでしょうか。まずはブランディングについて考えてみましょう。企業が自社のブランド力を高めるために重要なことがあります。それは顧客ニーズを正しく読み解くことです。表面的なニーズだけをとらえていてはいけません。顧客が真に求める、いわば潜在的なニーズをしっかりと理解します。そして、それがまだ競合他社も応えられていないニーズであり、自社が強みを活かすことで実現できることであれば、それに成功したときに自社のブランディングが可能になります。これを3Cに落とし込むと以下のように言えます。

Competitor→競合のサービス
Customer→顧客の潜在ニーズを読み解く
Company→自社の強みを活かした新ブランドの提供

スターバックスと3C

それではスターバックスはこの3Cをブランディングにどのように活用したのかを見ていきましょう。1995年に日本初上陸を果たしたスターバックスは3年間で日本国内に100店舗を出店しました。現在ではその店舗数が1000店舗を超えています。急速な成長を支えたのがスターバックスのおこなったブランディング戦略です。

1.スターバックスの戦略-Company

スターバックスがおこなったブランディングの一つが自社のイメージ戦略です。スターバックスに対して顧客が「どう思うか」ではなく「どう思わせるか」という観点で思考し、その目的のためにユニフォームや内装を設計していくのです。これによりスターバックスに対して顧客の持つイメージは、「おしゃれ」「美味しい」「居心地がいい」「高級感がある」などといったようなものになっています。逆にマイナスイメージとしては「庶民的でない」といったものもあります。

2.スターバックスの戦略-Competitor

直接競合

直接競合とは自社と同業で戦略やコンセプトが近い企業を指します。コーヒーチェーン店でスターバックスの直接競合は以下のような企業が該当します。

庶民的なイメージの強い ドトール

高級感のイメージが強いスターバックスに対して、同じコーヒーチェーンでありながら庶民的なイメージの強いドトール。実は庶民的なイメージもブランディングの効果が多大に影響しています。1980年にオープンした当時、ドトールはコーヒーショップの相場の半値という価格帯でコーヒーを提供しました。その後、価格は上昇し、他社との価格差は縮んでいるにもかかわらずドトールには「庶民的」というイメージが根付いています。これはブランディングによるイメージ戦略に成功しているからといえます。

高級感はあるもののスターバックスに比べてブランド力は劣る タリーズ/エクセルシオールカフェ

スターバックスが1995年に日本に上陸した直後の1997年にタリーズが、1999年にはエクセルシオールカフェが日本に上陸しました。どちらもスターバックスと同じ「おしゃれ」で「高級感」のあるイメージを武器にスターバックスとの競争を試みますが、消費者の多くがスターバックスに流れる結果となりました。スターバックスのブランドイメージが確立され、消費者にしっかりと浸透しているのに対して、タリーズとエクセルシオールカフェについては消費者に特別なブランドイメージがないという調査結果から分かるように、ブランディングの力が競争の明暗を分けました。

間接的競合

これらの直接的な競合以外にも注意すべき存在があります。それが間接競争となる相手でありスターバックスの場合、マクドナルドやコンビニのコーヒーがこれに当たります。どちらもコーヒーチェーン店ではないもののそれぞれに特長があり、消費者のニーズに沿ったものであるため無視できる存在ではなくなっています。
特に「庶民的」で「短時間で提供できる」というスターバックスにない強みを持ち、「美味しい」という部分で強みが重なるため、直接的な競合相手でなくとも自社の顧客が流出してしまうという危機感はぬぐえません。

3.スターバックスの戦略-Customer

顧客のニーズと自社イメージを相関して考察することで顧客ニーズへの理解を深めることができます。顧客ニーズはプラスとマイナスの要素から検討していく必要があります。
例えば「おしゃれなお店に行きたい」「美味しいコーヒーが飲みたい」というようなニーズもあれば、「たばこの臭いがするお店には行きたくない」「ひとりで入りづらい雰囲気のお店は行きたくない」といったものもニーズといえます。

「3C」によるスターバックス成功の理由を考察する

スターバックスがいかにして成功を勝ち取ったか、その理由を3Cの観点からまとめてみましょう。

スタバのCompetitor
スターバックスが新規参入した当時、直接的な競合といえるドトールコーヒーはコンセプトが違ったため、スターバックスは独自のブランディングにより顧客を獲得できた。

スタバのCustomer
当時はおしゃれで居心地の良さを追求した喫茶店がなく、スターバックスのイメージは顧客の潜在ニーズにいち早く応えるものであった。

スタバのCompany
当時すでにあったサービスでは応えられていなかった顧客の潜在ニーズに着目し、そこから逆算して自社のサービスやイメージ戦略を図ることで顧客の獲得、そしてブランディングをおこなった。

スターバックスの具体的な戦略

スターバックスが3Cの観点から戦略を構築したところまでの流れは理解できたと思います。では実際にスターバックスはこれらの目的を達成するために具体的におこなった施策はどんなことでしょうか。
そこには今までになかった他社との差別化ポイントがたくさんありました。独自性のあるコンセプトやサービスは次々と顧客のハートをつかみ、日本におけるスターバックスの地位を確固たるものにしました。
施策には次のような斬新なものがありました。例えば「第三の空間」(Third Place)というコンセプトのもと家庭でもオフィスでも得られない自分の時間を過ごすことができる場所の提供。コーヒーだけでなくフラペチーノなど新しいメニューの提供。ドリンクサイズを独自の「ショート」「トール」「グランデ」という基準でわけることによるトレンド感の醸成。テラス席の創設。時代に先駆けた禁煙措置などスターバックスが生み出したサービスはコーヒーショップの域を超えて現代の常識となっているものも多数見受けられます。現在日本にあるカフェテリアはこのスターバックスが築き上げたイメージに影響を受けたものばかりです。それほどにスターバックスの戦略は日本人のハートをつかんで離さないものなのです。かつては女性がひとりで喫茶店を利用する姿はあまり見られませんでしたが、昨今は女性が一人で利用する光景は珍しくありません。これもスターバックスが戦略的に女性客を獲得してきた成果です。

新たなコーヒーブームの波

コーヒーブームは決して終結していません。コンビニで気軽においしいコーヒーが飲めるようになったことや、市販のコーヒーの高品質化による“第三次コーヒーブーム”そしてデカフェ(カフェインレスコーヒー)が登場し“第四次コーヒーブーム”というように次々と新たな価値観が提案されています。身近な飲み物であるがゆえにその潜在ニーズも多いのかもしれません。3C分析によって新たなコーヒーブランディングをやってみましょう。

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